アクチュアリーの将来性 — AIに奪われる業務・残る業務

最終更新: 2026/03/24

5% AI浸透度(AI代替率)

AI浸透度5%。死亡率・事故率・疾病率の推計や保険料率算定といった統計分析はAIが加速します。しかし、計算結果の経営的解釈、市場環境変化への臨機応変な判断、経営層・行政への技術説明責任は人間の専門性が決定的です。

アクチュアリーの要点 2026/03/24 更新
AI浸透度(AI代替率) 5%
AIが関与するタスク 1件 / 15件
人間中心のタスク 14件
AIに代替困難な要素 対面対応
AI実装済み領域 5%
求められるスキル 数学的素養・論理と推論(批判的思考)・読解力

アクチュアリーとは

確率論・統計学などの数理的手法を活用して、主として保険や年金などの分野で起こる不確定な事象を取り扱う数理の専門職である。

この職種のAI浸透度は5%。 15件の業務のうち1件でAIが活用され、14件は人間が中心です。 対面対応などAIには代替できない要素も多く、 将来性の高い職種です。

なるには

この仕事に就くために、まず、確率論・統計学などの数理的スキルを習得して生保・損保会社や信託銀行、官公庁等に就職し、保険数理・年金数理業務に携わり経験を積むのが一般的である。保険計理人・年金数理人としての業務を行うには日本アクチュアリー会正会員でなければならないため、同会が実施するアクチュアリー資格試験に合格することが、実質的な必須資格となっている。 日本アクチュアリー会正会員になるには、前年度の3月末時点で満18歳以上の者を受験資格とする同会のアクチュアリー資格試験(第1次試験(基礎5科目)、第2次試験(専門2科目))に合格及びプロフェッショナリズム研修(初期教育)及び特定分野研修(初期教育)を修了しなければならず、正会員になって初めて「一人前」とされる。これには7年程度かかるといわれる。なお、日本アクチュアリー会では第1次試験1科目以上合格者を研究会員、第1次試験合格者を準会員とし(これらを含めた会員数合計約5,600人)、テキスト発行、講習の実施等により、育成・継続教育を推進している。最近では、在学中からアクチュアリー資格試験に挑戦する学生のための対策講座を設ける大学もある。 業務の専門性から転職は同じ業界内がほとんどであるが、離転職は少なく、独立開業はほとんどない。 数学・統計等の数理能力は言うまでもないが、法令や会計基準等の変更を常にフォローする根気強さ、顧客との窓口である営業担当等とのチームワークで業務遂行できる協調性、専門用語が多い保険・年金についてわかりやすく説明できるコミュニケーション能力が重要とされる。また、海外への業務展開を図る保険会社の増加を反映して、英語の必要性が増しているという。

AI時代に伸ばすべきポイント

  • 将来の給付金支払いに必要な保険料率、現金準備金、負債を算定する・保険・年金制度の設計・審査・運営を支援し、財務健全性の判定と保険料を算定するを極める — AIでは代替できない領域
  • 契約ベースでクライアントにコンサルタントとして助言を行うのAIツールを習得 — 効率化の武器に
  • 数学的素養・論理と推論(批判的思考)の重要性が今後さらに高まる

AIはどこまで浸透しているか

アクチュアリーの業務全体のうち、実際にAIが使われている割合です。

AI 5% 人間 95%

アクチュアリーの業務の95%は、まだ人間が担っています。AIの影響を受けにくい職種です。

業務ごとのAI浸透度

アクチュアリーの業務を、情報処理面でのAI浸透度で分類しました。身体作業や対面業務の実行は含みません。

1
AIが担う業務
14
人間が担う業務

AIが担う業務 浸透度 50%以上

68% 契約ベースでクライアントにコンサルタントとして助言を行う
人間主導

人間が担っている業務 浸透度 50%未満

将来の給付金支払いに必要な保険料率、現金準備金、負債を算定する
保険・年金制度の設計・審査・運営を支援し、財務健全性の判定と保険料を算定する
会社方針の策定に関与し、技術的事項を経営層・行政・株主等に説明する
統計情報を分析し、死亡率・事故率・疾病率・障害率・退職率を推計する
統計データの分析に基づき火災・自然災害・失業等の確率表を作成する
他社との再保険の条件を交渉する
プログラマー・引受担当・経理・保険金査定士・経営層と協力し、新規事業や既存事業の改善計画を策定する
相互会社の有配当保険・年金契約における剰余金の公正な配分基準を決定する
企業に影響する法案について行政機関の場で証言する
保険種類ごとの契約条項を決定する
事故による逸失利益の算定等について法廷で専門家として証言する
金融機関の投資・与信商品のリスク管理とリターン最大化を専門的に支援する 補助
与信管理および企業の証券発行の価格設定を支援する 補助
契約条項の変更内容を顧客に説明する 補助
AIの使われ方: AI直接指示 やり取り改善 フィードバック 学習 検証
この分析の見方

各業務のAI浸透度はAnthropic Economic Indexの実測データに基づきます。

※ AI浸透度は業務の情報処理・判断面への浸透を測定しています。身体作業や対面対応など物理的な実行はAIでは代替できないため、浸透度が高くても人間の作業が不要になるわけではありません。

AIが担う業務
情報処理面でAIが50%以上浸透している業務。ただし身体作業を伴う場合、実行は引き続き人間が担います。
人間が担っている業務
AI浸透度が50%未満の業務。対面対応・信頼関係・判断力など人間ならではの強みが求められるか、AI技術がまだ追いついていない領域です。

カラーバーは業務ごとの「AIの使われ方」を示します:

AI直接指示(赤系)
AIに直接タスクを指示する自動化的な利用。この割合が高いほど、AIが主導的に業務を行っています。
やり取り改善(青系)
人間とAIが対話しながら成果を改善していく協働型の利用。
フィードバック(紫系)
AIの出力に対して人間がフィードバックを返す利用パターン。
学習(緑系)
AIを通じて知識やスキルを習得する目的の利用。
検証(黄系)
AIの出力を人間が確認・検証する利用。

なぜAIが入り込めないのか

🧑 AIの浸透を阻む「人間の強み」

95%の業務がAIに浸透していない理由は、以下の人間ならではの要素です。

AIにできない 対面対応

非常に高い対面でのやりとりが求められる仕事

この仕事では他者とのかかわり、対面での議論といった場面があり、AIだけでは対応が難しい領域です。

求められる力: 説明力、傾聴力

この仕事の原動力: 周囲や組織の支援

AIは補助まで 責任判断

非常に高い責任を伴う判断が求められる

この仕事では結果・成果への責任、意思決定の自由、ミスの影響度、意思決定と問題解決を行うといった場面があり、AIだけでは対応が難しい領域です。

求められる力: 合理的な意思決定

具体的な業務: 「生命保険会社、損害保険会社において、死亡率や事故発生率、損害額、経済状況を分析し、保険商品の開発や保険料額の決定を行う。」「将来の支払いに備える準備金の額を評価し、会社の健全性を保つための収益管理やリスク管理を行う。」「保険会社や一般企業に対してリスク管理や商品開発に関する助言を行う。」

AIは補助まで 指導・育成

後輩や部下への指導・育成が大きな役割の一つ

この仕事では他者とのかかわりといった場面があり、AIだけでは対応が難しい領域です。

求められる力: 説明力、指導

この仕事の原動力: 周囲や組織の支援

AIは補助まで 交渉

交渉力が特に求められる

この仕事では対面での議論といった場面があり、AIだけでは対応が難しい領域です。

求められる力: 説明力

AIは補助まで 暗黙知

経験から培われる暗黙知やカンが重要

この仕事の原動力: 達成感、自律性

具体的な業務: 「信託銀行、生命保険会社、政令指定法人において、年金財政全体のバランスを勘案した基本運用方針を策定するための助言を行う。」

AIは補助まで 信頼構築

相手との信頼関係が重要な仕事

この仕事では他者とのかかわりといった場面があり、AIだけでは対応が難しい領域です。

求められる力: 傾聴力

この仕事の原動力: 周囲や組織の支援

AIが追いつきつつある領域

ただし以下の領域は、今後のAI進化でギャップが縮まる可能性があります。

変化の兆し 曖昧な判断

正解のない状況での判断力が特に求められる

この仕事では意思決定の自由、優先順位や目標の自己設定、意思決定と問題解決を行うといった場面があり、AIだけでは対応が難しい領域です。

具体的な業務: 「信託銀行、生命保険会社、政令指定法人において、年金財政全体のバランスを勘案した基本運用方針を策定するための助言を行う。」

変化の兆し 創造性

創造性やオリジナリティが求められる

求められる力: 独創性

この仕事の原動力: 達成感、自律性

変化の兆し 関連資格・学歴

アクチュアリー、保険計理人、年金数理人などの関連資格があると有利

業界で変わるAIの影響

同じアクチュアリーでも、働く業界によってAIの影響度は異なります。

金融・保険業
AI化 5% 潜在 +53%
すでにAI化 AI活用で伸びる 組織のAI導入で恩恵 人間のみ
この分析の見方
すでにAI化
AIが直接代行している業務の割合。どの業界でも共通です。
AI活用で伸びる
AIツールを使いこなすことで生産性を上げられる領域。個人のスキルと業界のIT環境に左右されます。
組織のAI導入で恩恵
会社がAIシステムを導入することで、自然と恩恵を受けられる領域。
人間のみ
身体作業・対面・感情など、現在のAI技術では対応できない領域。

この職種の年収

厚生労働省「賃金構造基本統計調査」に基づくアクチュアリーの給与水準です。

業界で変わる年収

同じアクチュアリーでも、働く業界によって年収は大きく異なります。

金融業,保険業 944万円
鉱業,採石業,砂利採取業 750万円
学術研究,専門・技術サービス業 668万円
電気・ガス・熱供給・水道業 662万円
製造業 651万円
建設業 625万円
教育,学習支援業 615万円
卸売業,小売業 605万円

出典: 厚生労働省「賃金構造基本統計調査」(2023年)

この職種に向いている人

ホランドの職業興味理論(RIASEC)に基づく適性タイプです。

I 研究的
4.6
E 企業的
4.2
S 社会的
3.8
C 慣習的
3.6
R 現実的
3.0
A 芸術的
2.3

物事の仕組みを調べ、データを分析するのが好きなタイプが向いています。

求められるスキルと知識

アクチュアリーに求められる主要スキルと専門知識です。スコアは5段階評価。

スキル

1
数学的素養 6.0
2
論理と推論(批判的思考) 5.9
3
読解力 5.6
4
説明力 5.6
5
新しい情報の応用力 5.3

知識

1
数学 4.2
2
経済学・会計学 4.1
3
ビジネスと経営 3.4
4
事務処理 3.1
5
日本語の語彙・文法 2.8

働く環境と雇用形態

働く環境

空調のきいた屋内作業 ほぼ毎日 100%
電子メール ほぼ毎日 100%
他者とのかかわり ほぼ毎日 96%
座り作業 ほぼ常に 94%
意思決定の自由 ある程度は自由がある 79%
厳密さ、正確さ きわめて重要である 77%
グループやチームでの仕事 きわめて重要である 64%
機械やコンピュータによる仕事の自動化 ある程度自動化されている 64%

雇用形態

正規の職員、従業員
100.0%
経営層(役員等)
11.8%
自営、フリーランス
2.0%

必要な学歴・資格

AIでは代替できない専門性の証明。資格保持はAI時代の差別化要因になります。

関連資格

  • アクチュアリー
  • 保険計理人
  • 年金数理人

近い職種のAI浸透度

アクチュアリーとキャリアが近い職種を、AI浸透度の違いで比較できます。

アクチュアリーの将来性とAIの影響

「アクチュアリーはAIに代替されるのか?」という不安を持つ方に向けて、データに基づく分析をお届けします。

AI代替率: 5%

AI代替率は5%と低く、将来性のある職種です。対面対応など、AIには難しい要素が業務の中心にあります。

AIが変える業務

契約ベースでクライアントにコンサルタントとして助言を行うなどはAIの活用が進んでいます。これらの業務は効率化される一方、新たな役割が生まれます。

AI時代に求められるスキル

数学的素養・論理と推論(批判的思考)・読解力といったスキルの重要性が高まっています。AIを補完する人間の強みを伸ばすことがキャリアの鍵になります。

よくある質問

アクチュアリーはAIでなくなりますか?

アクチュアリーはAIでなくなる可能性が低い職種です。AI代替率はわずか5%で、対面対応など人間の強みが活きる仕事です。

アクチュアリーはAIに代替される?

死亡率・事故率の統計分析、保険料率の自動算定、財務シミュレーションといった計算業務はAIが高速化・精度向上させます。しかし計算結果から経営判断を導く判断力、想定外の市場リスク対応、経営陣への説明は人間の専門知識が決定的です。

アクチュアリーでAIはどう活用される?

業種により異なりますが、AI総合活用度は59%です。すでにAI化されている部分が5%、AI活用で伸ばせる部分が35%、組織のAI導入で恩恵を受ける部分が18%です。

アクチュアリーの将来性は?

AIによる分析自動化で、データ処理時間は大幅短縮されます。一方、複雑なデータから経営的意思決定を導く『分析の解釈力』『リスク洞察力』がより重要になります。AI×人間の協働で、アクチュアリーの戦略的価値は高まる傾向です。

AI時代にアクチュアリーに必要なスキルは?

統計学の基礎知識に加え、AIが生成した分析結果を経営的に解釈する能力、市場リスクの先読み、経営層・行政との説得的なコミュニケーション、複雑な環境への適応力が重要です。数学と経営センスの統合が求められます。

アクチュアリーで生成AIをどう活用できる?

アクチュアリーでは1件の業務でAIが活用されています。

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最終更新: 2026/03/24

AI浸透度はAnthropicのAnthropic Economic Index (AEI)の観測値(CC-BY)に基づく。業種別分析は独立行政法人労働政策研究・研修機構(JILPT)作成「職業情報データベース」のデータを加工して算出。JILPTおよびAnthropicの見解ではありません。分析方法の詳細

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