造船技能者(造船工の将来性 — AIに奪われる業務・残る業務
最終更新: 2026/03/24
船体ブロックの図面・レイアウト仕様に従い、治具・溶接トーチ・手工具を駆使して複数部品を精密に位置合わせ・嵌合・溶接します。直角定規や巻尺で厳密に検査し、ジャッキで部品を調整する—その精度と経験が船全体の強度と安全を左右する職種です。
造船技能者(造船工とは
鋼材などの資材から部品を切断・加工し、それらを接合して組み立て船体を製作し、必要な設備・機器を取付けて航行できるように船舶を建造する。
この職種のAI浸透度は0%。 23件の業務のうち0件でAIが活用され、23件は人間が中心です。 対面対応や必須資格・免許などAIには代替できない要素も多く、 将来性の高い職種です。
なるには
入職にあたって通常、特段の学歴や専攻は問われない。新卒で入職する場合、造船科や工業系の高校等を卒業した者が比較的多いが、工業系以外の学科卒の者も多く入職している。船員等海運関係従業者や他職種からの中途採用もある。新卒者は、学校、ハローワークの紹介がほとんどである。中途採用は、ハローワーク、求人広告等で行われており、未経験者や無資格者も採用されている。採用された者は、入職後に指導員から実務の指導を受けたりスキルアップ講習で技能を習得しながら実績を積み必要な資格を取得する。多くの企業に資格取得支援制度があり、資格取得を勧めている。また、一般社団法人日本中小型造船工業会が、全国6箇所に設置している「技能研修センター」で新卒・中途採用者を対象とした新人研修、中堅技能者を対象とした溶接、撓鉄(ぎょうてつ)、船殻(せんこく)組立、配管艤装、電気艤装、塗装及び機関仕上等の専門技能研修を行うなど業界を挙げて造船技能者の育成に積極的に取り組んでいる。 造船技能者の場合は、様々な溶接技術を必要とし、アーク溶接やガス溶接を行う場合には、法律で定められた講習である「アーク溶接作業者」、「ガス溶接技能者」の講習を修了することが必要であり、船舶建造の溶接技術に関しては、一般財団法人日本海事協会が認定する「溶接士技量資格」がある。また、「ガス溶接作業主任者」(実務経験3年以上で受験可能)や「自由研削砥石特別教育修了」もある。関係団体が認定する「アルミニウム溶接技能者」、品質管理責任者として必要な「溶接管理技術者」、溶接従事者の指導を担当する「溶接作業指導者」等の資格もある。 なお、これまでにも述べたが、罫書・切断・加工・溶接は、多くの過程が機械化されているが、船首や船尾のカーブした部分などの特殊な立体構成は機械化ができず、人手作業に依らざるを得ないため、経験豊かな高度な技能取得者の役割が大きい。このような高度な人手技術(撓鉄(ぎょうてつ)など)をいかに伝承していくかが大きな課題となっており、高度な技能取得者の映像記録により可視化・数値化して分析する等の研究も取り組まれている。 艤装関係では、各種装置・設備の設置工事、船内内装工事、電気工事、空調工事及び給排水設備・配管工事等は建設工事と類似する技術・技能を必要とされる。しかし近年は、多能工化が進められ、職種が整理・統合される傾向にある。 また、建造過程において完成した部分品の移動や高所作業する際に必要となるクレーン運転士、移動式クレーン運転士、クレーン・デリック運転士、玉掛け技能講習修了、フォークリフト運転技能講習修了、高所作業車運転技能講習修了や船舶艤装で必要となる船舶電装士、主任船舶電装士、船舶電装管理者、航海用レーダー整備士、航海用無線設備整備士等並びに小型船製造の技術管理を行う場合の主任技術者(小型船造船)の資格等を取得することがキャリアの展開に有利である。なお、基礎水準レベルの英語等語学が必要になる場合もある。 加えて、船殻(せんこく)工程、艤装工程ともに全ての仕事に関し、立ち仕事や特定の姿勢での作業もあり、一定程度の体力も必要である。 キャリアルートに関しては、経験年数を積み各係の主任等、その後部下を指導する立場の班長を経て各部門でマネージメントを受け持つ職長・組長等となり、さらにチーム長、安全衛生部門監督者や工場長等の管理職になる場合もある。一例では、曲げ工程の撓鉄(ぎょうてつ)作業や溶接作業で独り立ちするには5年以上の経験が、その部門の班長となり部下を指導する立場になるまでには、10年以上の経験が必要になると言われている。 船舶の建造はプロジェクトでありチームワークが重視される。造船所内では、様々な部署や職種の従業者が従事しており、これら関係者との協力・意思疎通や工程が進む中での引継ぎが正確に行われることが不可欠であり、集団行動が基本なので他の担当者との調整・協調、情報伝達能力、コミュニケーション能力が重要で主張すべき時には発言することが重要である。 就業を長く続けるには、ものづくりに関心があることが大切であり、機械・器具を操作することに親しみを持てることや根気強く作業に取り組めることが望まれる。また、建造する船舶は、オーダーメイドであり、品質を保持し顧客に対する信用に関わる仕事であるため、責任感があり信頼を得られる資質が求められる。 また、取り扱う対象が巨大で重量がありこれをクレーンで吊り上げたり、高所で作業する必要もあることから、安全第一で仕事を進めることが常に求められている。社内における安全教育も万全に備えて実施されているが、正確で慎重な操作、的確な判断力や安全に配慮する注意力・集中力が求められる。
AI時代に伸ばすべきポイント
- 直角定規・定規・巻尺を使用して加工品の仕様適合性を確認する・ジャッキやターンバックル、ハンマー等を使い仕様に従って部品を調整・取付するを極める — AIでは代替できない領域
業務ごとのAI浸透度
造船技能者(造船工の業務を、情報処理面でのAI浸透度で分類しました。身体作業や対面業務の実行は含みません。
人間が担っている業務
この分析の見方
各業務のAI浸透度はAnthropic Economic Indexの実測データに基づきます。
※ AI浸透度は業務の情報処理・判断面への浸透を測定しています。身体作業や対面対応など物理的な実行はAIでは代替できないため、浸透度が高くても人間の作業が不要になるわけではありません。
- AIが担う業務
- 情報処理面でAIが50%以上浸透している業務。ただし身体作業を伴う場合、実行は引き続き人間が担います。
- 人間が担っている業務
- AI浸透度が50%未満の業務。対面対応・信頼関係・判断力など人間ならではの強みが求められるか、AI技術がまだ追いついていない領域です。
カラーバーは業務ごとの「AIの使われ方」を示します:
- AI直接指示(赤系)
- AIに直接タスクを指示する自動化的な利用。この割合が高いほど、AIが主導的に業務を行っています。
- やり取り改善(青系)
- 人間とAIが対話しながら成果を改善していく協働型の利用。
- フィードバック(紫系)
- AIの出力に対して人間がフィードバックを返す利用パターン。
- 学習(緑系)
- AIを通じて知識やスキルを習得する目的の利用。
- 検証(黄系)
- AIの出力を人間が確認・検証する利用。
なぜAIが入り込めないのか
AIの浸透を阻む「人間の強み」
100%の業務がAIに浸透していない理由は、以下の人間ならではの要素です。
ある程度求められる対面でのやりとりが求められる仕事
この仕事では他者とのかかわり、対面での議論といった場面があり、AIだけでは対応が難しい領域です。
アーク溶接技能者(専門級)、アーク溶接技能者(基本級)、ガス溶接技能者など、法令で定められた資格・免許が必要
この仕事では結果・成果への責任といった場面があり、AIだけでは対応が難しい領域です。
具体的な業務: 「最終完成させた後、海上試運転に移り、操舵機・機関主機・航海計器等各種機器の機能検査を行い、設計どおりの性能が満たされているか確認する。」
ある程度求められる責任を伴う判断が求められる
この仕事では結果・成果への責任、意思決定の自由、意思決定と問題解決を行うといった場面があり、AIだけでは対応が難しい領域です。
経験から培われる暗黙知やカンが重要
業界で変わるAIの影響
同じ造船技能者(造船工でも、働く業界によってAIの影響度は異なります。
この分析の見方
- すでにAI化
- AIが直接代行している業務の割合。どの業界でも共通です。
- AI活用で伸びる
- AIツールを使いこなすことで生産性を上げられる領域。個人のスキルと業界のIT環境に左右されます。
- 組織のAI導入で恩恵
- 会社がAIシステムを導入することで、自然と恩恵を受けられる領域。
- 人間のみ
- 身体作業・対面・感情など、現在のAI技術では対応できない領域。
この職種の年収
厚生労働省「賃金構造基本統計調査」に基づく造船技能者(造船工の給与水準です。
業界で変わる年収
同じ造船技能者(造船工でも、働く業界によって年収は大きく異なります。
出典: 厚生労働省「賃金構造基本統計調査」(2023年)
求められるスキルと知識
造船技能者(造船工に求められる主要スキルと専門知識です。スコアは5段階評価。
知識
働く環境と雇用形態
働く環境
雇用形態
必要な学歴・資格
AIでは代替できない専門性の証明。資格保持はAI時代の差別化要因になります。
関連資格
- アーク溶接技能者(専門級)
- アーク溶接技能者(基本級)
- ガス溶接技能者
- 溶接士技量資格
- ガス溶接作業主任者
- アルミニウム溶接技能者(専門級)
- アルミニウム溶接技能者(基本級)
- 溶接管理技術者1級
- 溶接管理技術者2級
- 溶接作業指導者
- 自由研削砥石特別教育修了
- 移動式クレーン運転士
- クレーン・デリック運転士(クレーン限定)
- クレーン・デリック運転士(限定なし)
- 玉掛技能者
- フォークリフト運転技能者
- 高所作業車運転技能者
- 船舶電装士
- 主任船舶電装士
- 船舶電装管理者
- 航海用レーダー整備士
- 航海用無線設備整備士
- 主任技術者(小型船造船)
造船技能者(造船工の将来性とAIの影響
「造船技能者(造船工はAIに代替されるのか?」という不安を持つ方に向けて、データに基づく分析をお届けします。
AI代替率: 0%
AI代替率は0%と低く、将来性のある職種です。対面対応・必須資格・免許など、AIには難しい要素が業務の中心にあります。
AIが変える業務
現時点でAIに代替される業務はありません。人間の判断や対面対応が中心の職種です。
AI時代に求められるスキル
AIツールを活用しながら、人間にしかできない判断力やコミュニケーション力を磨くことが重要です。
よくある質問
造船技能者(造船工はAIでなくなりますか?
造船技能者(造船工はAIでなくなる可能性が低い職種です。AI代替率はわずか0%で、対面対応・必須資格・免許など人間の強みが活きる仕事です。
造船技能者(造船工はAIに代替される?
造船技能者はAIに代替される? — 船体ブロックの溶接・位置合わせは、複雑な空間把握と現場での細かい調整が必要なため、AIでの代替は難しく、今後も人間の技能が主役のままです。
造船技能者(造船工でAIはどう活用される?
業種により異なりますが、AI総合活用度は31%です。すでにAI化されている部分が0%、AI活用で伸ばせる部分が20%、組織のAI導入で恩恵を受ける部分が11%です。
造船技能者(造船工の将来性は?
造船技能者の将来性は? — 脱炭素船・自動運転船などの新型船開発で、従来の溶接技能に加え新素材対応や設計変更への適応力が価値を高めるため、将来性は高まっています。
AI時代に造船技能者(造船工に必要なスキルは?
AI時代に造船技能者に必要なスキルは? — 従来の溶接・測定技能に加え、CAD図面の読込速度向上やデジタル設計ツール理解、そして品質データの記録・分析スキルが重要になります。
造船技能者(造船工で生成AIをどう活用できる?
現時点では造船技能者(造船工の業務へのAI浸透は限定的ですが、今後の技術進歩により活用の幅が広がる可能性があります。
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最終更新: 2026/03/24
AI浸透度はAnthropicのAnthropic Economic Index (AEI)の観測値(CC-BY)に基づく。業種別分析は独立行政法人労働政策研究・研修機構(JILPT)作成「職業情報データベース」のデータを加工して算出。JILPTおよびAnthropicの見解ではありません。分析方法の詳細