造船技術者(船舶の開発・設計)の将来性 — AIに奪われる業務・残る業務
最終更新: 2026/03/24
船舶設計の基本特性決定・安全基準の監視・他機関との調整など、複合的な判断が必要な業務が中核です。一方、設計試算や契約書作成などのデータ処理業務はAI活用で効率化できます。国際基準と実装の両立を実現する技術力が競争力の源泉です。
造船技術者(船舶の開発・設計)とは
造船会社において、顧客である船主の要求に応じた船舶の建造を計画し、船主と打ち合わせを行ったうえで契約仕様を決定し、その仕様を満たす性能を設計し具体化したものを、実際に建造するために必要な生産情報の作成まで一連の設計を行う。
この職種のAI浸透度は4%。 30件の業務のうち2件でAIが活用され、28件は人間が中心です。 対面対応や必須資格・免許などAIには代替できない要素も多く、 将来性の高い職種です。
なるには
入職にあたっては、様々な物理学的計算や立体構造を念頭に置いた作図を行うことから、新卒での入職者は、大学、大学院、高専の船舶学、機械・電気学、機械工学、航空宇宙工学、海洋システム工学等の理工学系専攻の卒業者が多いが、造船科、機械科、電気科等の理工学系卒の高卒者も採用する。中途採用は、ハローワーク、求人広告等で行われており、機械系の設計経験やCAD の操作経験が求められることが多いが、エクセル、ワード、パワーポイント等のPCの基本ソフトが使用できれば良い場合もあり、異業種からの転職者もいる。 採用された者は、入職後にベテラン従業員から実務の指導を受けたり様々な講習で技術を習得したりしながら実績を積む。CAD操作の未経験者も操作できるよう指導体制が図られている企業も多い。 また、一般社団法人日本造船工業会の「造船技術者社会人教育センター」が実施する造船技術者社会人教育(基礎コース、中堅技術者コース)、一般社団法人日本中小型造船工業会の「技能研修センター」が実施する新卒・中途採用者(主に造船系の学問を学んだことのない者)を対象とした新人研修、若手向けの生産設計研修、船舶海洋工学研修、技術開発未来塾、技術士取得講習会、一般財団法人日本海事協会が実施する、設計技術者育成パッケージ、海事データサイエンティスト育成講座等様々な研修が用意され、自分が入社した会社だけでなく外部機関などからのバックアップも充実しているため、未経験者でもしっかりとキャリアを築けるよう業界を挙げて技術者育成に取り組んでいる。 その上で、最新の技術を活用して、最新の機能を有する船を建造するためには、最新の情報が必要になり、他の造船所の最新の取組や関連産業の技術動向も勉強する必要がある。 なお、公益社団法人日本技術士会が認定する船舶・海洋分野の技術士を取得することがキャリアの展開に有利である。また、CADを使用する場合は、厚生労働省が定める技能検定の「機械・プラント製図技能士」や一般社団法人コンピュータ教育振興協会が主催するCAD利用技術者試験等で技能を証明することができる。さらに、規則に関する最新情報は英語で発信されており、また外国の顧客とのコミュニケーションや仕様書等は英語なので、英語力は必須である。 キャリアルートに関しての一般的な平均像は、採用後、数ヶ月間は、製造現場での実務研修を受け船舶建造の全体像を理解し、その後、先輩とマンツーマン体制で1年間は指導を受け、2年目まではサポート体制の下で職務に従事する。3年目で主な担当を与えられ、5年目で一人前として従事できるようになる。年齢的には、30代で中堅(主任)、40代前半で各部門の係長級、40代後半で課長級となり部下を指導する立場となる。この間に基本設計部門、詳細設計部門、生産設計部門間の異動があり、その後、営業部門や経営企画部門に異動する人もいる。さらに設計開発部門の管理者や工場等や組織全体の管理職になる場合もある。 船舶の設計・開発はプロジェクトでありチームワークが重視される。造船所内では、様々な部署や職種の従業者が従事しており、これら関係者との協力・意思疎通や工程が進む中での引継ぎが正確に行われることが不可欠であり、他の担当者との調整能力、協調性、バランス感覚、情報伝達能力、コミュニケーション能力が重要である。特に顧客船主から、急だったり難しい仕様変更の要請があったりすると、各部署が有機的に密接に連携しあい組織全体として迅速に対応していく必要が生じる。 就業を長く続けるには、ものづくりに関心があることが大切である。また、建造する船舶は、オーダーメイドであり、品質の保持や顧客に対する信用に関わる仕事であるため、地道に職務を遂行でき責任感があり信頼を得られる資質が求められる。
AI時代に伸ばすべきポイント
- 安全性・効率性・経済性の基準に従い、仕様と試験データに基づいて船体・上部構造を設計する・他の機関士や乗組員を監督し、通常業務・緊急対応の訓練を行うを極める — AIでは代替できない領域
- データを分析し製品提案の実現可能性を判断するのAIツールを習得 — 効率化の武器に
AIはどこまで浸透しているか
造船技術者(船舶の開発・設計)の業務全体のうち、実際にAIが使われている割合です。
造船技術者(船舶の開発・設計)の業務の96%は、まだ人間が担っています。AIの影響を受けにくい職種です。
業務ごとのAI浸透度
造船技術者(船舶の開発・設計)の業務を、情報処理面でのAI浸透度で分類しました。身体作業や対面業務の実行は含みません。
AIが担う業務
人間が担っている業務
この分析の見方
各業務のAI浸透度はAnthropic Economic Indexの実測データに基づきます。
※ AI浸透度は業務の情報処理・判断面への浸透を測定しています。身体作業や対面対応など物理的な実行はAIでは代替できないため、浸透度が高くても人間の作業が不要になるわけではありません。
- AIが担う業務
- 情報処理面でAIが50%以上浸透している業務。ただし身体作業を伴う場合、実行は引き続き人間が担います。
- 人間が担っている業務
- AI浸透度が50%未満の業務。対面対応・信頼関係・判断力など人間ならではの強みが求められるか、AI技術がまだ追いついていない領域です。
カラーバーは業務ごとの「AIの使われ方」を示します:
- AI直接指示(赤系)
- AIに直接タスクを指示する自動化的な利用。この割合が高いほど、AIが主導的に業務を行っています。
- やり取り改善(青系)
- 人間とAIが対話しながら成果を改善していく協働型の利用。
- フィードバック(紫系)
- AIの出力に対して人間がフィードバックを返す利用パターン。
- 学習(緑系)
- AIを通じて知識やスキルを習得する目的の利用。
- 検証(黄系)
- AIの出力を人間が確認・検証する利用。
なぜAIが入り込めないのか
AIの浸透を阻む「人間の強み」
96%の業務がAIに浸透していない理由は、以下の人間ならではの要素です。
高い対面でのやりとりが求められる仕事
この仕事では他者とのかかわり、対面での議論といった場面があり、AIだけでは対応が難しい領域です。
技術士(船舶・海洋部門)、機械・プラント製図技能士1級、機械・プラント製図技能士2級など、法令で定められた資格・免許が必要
この仕事では結果・成果への責任といった場面があり、AIだけでは対応が難しい領域です。
ある程度求められる責任を伴う判断が求められる
この仕事では意思決定の自由、結果・成果への責任といった場面があり、AIだけでは対応が難しい領域です。
具体的な業務: 「基本設計において、搭載するものの種類、積載能力、航路、速力等船主の要求に応じた機能・性能を満たすために主機、船型、船倉容積、基本構造の配置と主な構造部材の寸法等を決定する。」
経験から培われる暗黙知やカンが重要
業界で変わるAIの影響
同じ造船技術者(船舶の開発・設計)でも、働く業界によってAIの影響度は異なります。
この分析の見方
- すでにAI化
- AIが直接代行している業務の割合。どの業界でも共通です。
- AI活用で伸びる
- AIツールを使いこなすことで生産性を上げられる領域。個人のスキルと業界のIT環境に左右されます。
- 組織のAI導入で恩恵
- 会社がAIシステムを導入することで、自然と恩恵を受けられる領域。
- 人間のみ
- 身体作業・対面・感情など、現在のAI技術では対応できない領域。
この職種の年収
厚生労働省「賃金構造基本統計調査」に基づく造船技術者(船舶の開発・設計)の給与水準です。
業界で変わる年収
同じ造船技術者(船舶の開発・設計)でも、働く業界によって年収は大きく異なります。
出典: 厚生労働省「賃金構造基本統計調査」(2023年)
求められるスキルと知識
造船技術者(船舶の開発・設計)に求められる主要スキルと専門知識です。スコアは5段階評価。
知識
働く環境と雇用形態
働く環境
雇用形態
必要な学歴・資格
AIでは代替できない専門性の証明。資格保持はAI時代の差別化要因になります。
関連資格
- 技術士(船舶・海洋部門)
- 機械・プラント製図技能士1級
- 機械・プラント製図技能士2級
- CAD利用技術者1級
- CAD利用技術者2級
近い職種のAI浸透度
造船技術者(船舶の開発・設計)とキャリアが近い職種を、AI浸透度の違いで比較できます。
AI浸透度が低い職種
造船技術者(船舶の開発・設計)の将来性とAIの影響
「造船技術者(船舶の開発・設計)はAIに代替されるのか?」という不安を持つ方に向けて、データに基づく分析をお届けします。
AI代替率: 4%
AI代替率は4%と低く、将来性のある職種です。対面対応・必須資格・免許など、AIには難しい要素が業務の中心にあります。
AIが変える業務
データを分析し製品提案の実現可能性を判断する、計画・見積・設計施工スケジュール・契約仕様書(特記事項含む)を作成するなどはAIの活用が進んでいます。これらの業務は効率化される一方、新たな役割が生まれます。
AI時代に求められるスキル
AIツールを活用しながら、人間にしかできない判断力やコミュニケーション力を磨くことが重要です。
よくある質問
造船技術者(船舶の開発・設計)はAIでなくなりますか?
造船技術者(船舶の開発・設計)はAIでなくなる可能性が低い職種です。AI代替率はわずか4%で、対面対応・必須資格・免許など人間の強みが活きる仕事です。
造船技術者(船舶の開発・設計)はAIに代替される?
船舶設計の根幹となる寸法・排水量・推進方式などの決定には、安全基準・経済性・運用実績など多面的な検討が必要で、AI単独では判断できません。ただし、過去の設計データ分析や仕様計算の事務作業はAI化が進みます。
造船技術者(船舶の開発・設計)でAIはどう活用される?
業種により異なりますが、AI総合活用度は35%です。すでにAI化されている部分が4%、AI活用で伸ばせる部分が20%、組織のAI導入で恩恵を受ける部分が11%です。
造船技術者(船舶の開発・設計)の将来性は?
海事規制の厳格化(IMO基準など)と脱炭素化対応で、高度な船舶設計ニーズは増加中です。計算・書類作成をAI化することで、技術者は設計の品質向上と革新に集中でき、競争力が強まります。
AI時代に造船技術者(船舶の開発・設計)に必要なスキルは?
最新の船舶設計ツール(CAD・シミュレーション)とAIを使いこなし、国際基準・環境規制をリアルタイム反映できる力が必須です。同時に、造船所内での他機関(機関部・鋼構部)との調整と、顧客ニーズの読み取りスキルが差を付けます。
造船技術者(船舶の開発・設計)で生成AIをどう活用できる?
造船技術者(船舶の開発・設計)では2件の業務でAIが活用されています。
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最終更新: 2026/03/24
AI浸透度はAnthropicのAnthropic Economic Index (AEI)の観測値(CC-BY)に基づく。業種別分析は独立行政法人労働政策研究・研修機構(JILPT)作成「職業情報データベース」のデータを加工して算出。JILPTおよびAnthropicの見解ではありません。分析方法の詳細