内部監査人の将来性 — AIに奪われる業務・残る業務

最終更新: 2026/03/24

35% AI浸透度(AI代替率)

社内の内部監査は、取引記録の検査・異常検出・コンプライアンス確認がAIで自動化される一方で、監査戦略の決定、経営層への報告、業務改善の提言は監査人の判断が必須です。AI化で定型的な検査作業が削減され、戦略的な監査計画に時間をかけられるようになります。

内部監査人の要点 2026/03/24 更新
AI浸透度(AI代替率) 35%
AIが関与するタスク 7件 / 30件
人間中心のタスク 23件
AIに代替困難な要素 対面対応・必須資格・免許
AI実装済み領域 35%
求められるスキル 傾聴力・文章力・読解力

内部監査人とは

組織における内部統制の整備及び運用状況を調査、検討、評価し、その結果を組織トップ(社長や取締役会)に報告し、改善を提言する。

この職種のAI浸透度は35%。 30件の業務のうち7件でAIが活用され、23件は人間が中心です。 対面対応や必須資格・免許などAIには代替できない要素も多く、 AIとの共存が鍵の職種です。

なるには

この仕事に就くために特に学歴や資格は必要とされないが、大卒がほとんどである。高卒・高専卒で現場経験を積んできた者もいる。内部監査業務を実施するには、社内の業務を心得ていること、各部署の責任者と対等に対応できることが必要であり、相応の経験が求められることから、社内異動、監査業務経験者の中途採用が多く、新卒で入社即入職するケースはほとんどない。そのため、30~50歳代が中心の年齢構成となっている。社内異動の場合の出身部門は、販売・営業部門、管理部門、経理・財務部門、総務・人事・労務部門、情報システム部門等と多様である。 仕事を一通り覚え、出張も任せられる一人前になるのは1~2年とされている。 教育方法としては、OJTを中心としつつ、講習会や勉強会への参加も積極的に行われている。 人材の育成も含めて内部監査体制の整備を図るため、最近では、新卒で内部監査の部署に配属し、数年後にはいくつかの部署を回らせてから、本格的に内部監査の仕事をさせるという方法を採るところも出てきているようである。 関係団体による内部監査士やCIA(公認内部監査人国際資格)の資格取得を奨励している会社もある。 幅広い業務知識、社会動向・法令・規制に関する知識が必要であり、かつ専門知識等の継続的な向上が求められる。業務の特性上、秘密保持や高い倫理観も要求される。また、社会人としてのコミュニケーション能力、協調性も重要である。内部監査は単に不備を指摘するのではなく、監査対象部署と共に解決の方策を探ると同時に対象部署の自発的改善を促すことで、各組織体の価値の向上に貢献するものであることから、多面的な考え方ができ、改善提案や教育的な対応もできることが望ましい。

AI時代に伸ばすべきポイント

  • 資産活用状況と監査結果を経営層に報告し、業務・財務の改善を提言する・会計帳簿や会計システムの効率性・有効性および適正な会計処理の遵守状況を検査するを極める — AIでは代替できない領域
  • 記録を調査し従業員に聞き取りを行い、取引記録の正確性と法令遵守を確認するのAIツールを習得 — 効率化の武器に
  • 傾聴力・文章力の重要性が今後さらに高まる

AIはどこまで浸透しているか

内部監査人の業務全体のうち、実際にAIが使われている割合です。

AI 35% 人間 65%

内部監査人の業務の65%は、まだ人間が担っています。AIの影響を受けにくい職種です。

業務ごとのAI浸透度

内部監査人の業務を、情報処理面でのAI浸透度で分類しました。身体作業や対面業務の実行は含みません。

7
AIが担う業務
23
人間が担う業務

AIが担う業務 浸透度 50%以上

95% 記録を調査し従業員に聞き取りを行い、取引記録の正確性と法令遵守を確認する
94% 勘定科目表を作成し、仕訳を適切な勘定に割り当てる
人間主導
91% コンピュータ技術を活用した記録管理・会計システムを策定・導入・改修・文書化する
AI主導
91% 内部統制の不備、業務重複、浪費、不正、法令・規程違反を検出するためのデータ収集・分析を行う
AI主導
89% 会計記録や財務報告書の正確性・完全性・基準適合性を検証・分析する
AI主導
86% 事業運営・動向・収支を分析し将来の収益・費用を予測または助言する
AI主導
78% 監査結果に関する詳細報告書を作成する
AI+人間

人間が担っている業務 浸透度 50%未満

資産活用状況と監査結果を経営層に報告し、業務・財務の改善を提言する
会計帳簿や会計システムの効率性・有効性および適正な会計処理の遵守状況を検査する
事業所の監査を監督し、必要な調査範囲を決定する
経営幹部と財務および規制に関する事項を協議する
財務・情報システムを調査・評価し、信頼性とデータ整合性を確保する統制を提案する
現金・受取手形・支払手形・有価証券・決済済小切手を照合し、記録の正確性を確認する
決算整理仕訳を作成する
勘定の不一致を確認し、差異を照合・調整する
棚卸資産を調べ、仕訳帳・元帳の記載内容を検証する
施設の財務状況を経営層に報告する
金利・年金・有価証券評価・減耗資産の償却知識を用いて納税者の財務状況と税額を評価する
組織の目標が管理活動に反映されているか、また従業員が目標を理解しているかを検証する
給与・人事記録を監査し、雇用保険料・労災補償・債務・税法遵守状況を確認する
納税者の口座を審査し、実地・書面・呼び出しによる税務調査を実施する 補助
納税額を算出し、税務申告書を作成して税法要件の遵守を確保する 補助
報酬、福利厚生、会計・データ処理システム設計、長期税務・資産計画について顧客に助言する 補助
税務当局への代理対応および財務関連訴訟の支援を行う 補助
財務記録の整理・記録・編集・送付に従事する職員の業務を指揮する 補助
開発中のシステムやプログラムが計画通り動作するか導入前監査を実施する 補助
予算を策定・管理・分析し、予算と実績を比較する定期報告書を作成する
会計基準に基づき財務諸表や年次報告書を作成・分析・検証する
請求書の支払処理を行う
有形資産・純資産・負債・資本金・剰余金・収支に関するデータを確認する
AIの使われ方: AI直接指示 やり取り改善 フィードバック 学習 検証
この分析の見方

各業務のAI浸透度はAnthropic Economic Indexの実測データに基づきます。

※ AI浸透度は業務の情報処理・判断面への浸透を測定しています。身体作業や対面対応など物理的な実行はAIでは代替できないため、浸透度が高くても人間の作業が不要になるわけではありません。

AIが担う業務
情報処理面でAIが50%以上浸透している業務。ただし身体作業を伴う場合、実行は引き続き人間が担います。
人間が担っている業務
AI浸透度が50%未満の業務。対面対応・信頼関係・判断力など人間ならではの強みが求められるか、AI技術がまだ追いついていない領域です。

カラーバーは業務ごとの「AIの使われ方」を示します:

AI直接指示(赤系)
AIに直接タスクを指示する自動化的な利用。この割合が高いほど、AIが主導的に業務を行っています。
やり取り改善(青系)
人間とAIが対話しながら成果を改善していく協働型の利用。
フィードバック(紫系)
AIの出力に対して人間がフィードバックを返す利用パターン。
学習(緑系)
AIを通じて知識やスキルを習得する目的の利用。
検証(黄系)
AIの出力を人間が確認・検証する利用。

なぜAIが入り込めないのか

🧑 AIの浸透を阻む「人間の強み」

65%の業務がAIに浸透していない理由は、以下の人間ならではの要素です。

AIにできない 対面対応

ある程度求められる対面でのやりとりが求められる仕事

この仕事では他者とのかかわり、対面での議論といった場面があり、AIだけでは対応が難しい領域です。

求められる力: 傾聴力、説明力

この仕事の原動力: 周囲や組織の支援

AIにできない 必須資格・免許

内部監査士、CIA(公認内部監査人)など、法令で定められた資格・免許が必要

この仕事では結果・成果への責任といった場面があり、AIだけでは対応が難しい領域です。

AIは補助まで 責任判断

高い責任を伴う判断が求められる

この仕事では結果・成果への責任、意思決定の自由、ミスの影響度、意思決定と問題解決を行うといった場面があり、AIだけでは対応が難しい領域です。

求められる力: 合理的な意思決定

具体的な業務: 「年度初めに年次監査計画を立案し、社長、取締役会等の承認を得る(複数年計画の場合もあり)。」「年次監査計画に基づき、対象部署、対象業務、手続き等を定めた個別監査計画を立案し、承認を得る。」「把握した情報を整理・評価し、その内容について対象部署責任者との間で合意を得る。」

AIが追いつきつつある領域

ただし以下の領域は、今後のAI進化でギャップが縮まる可能性があります。

変化の兆し 曖昧な判断

正解のない状況での判断力が求められる

この仕事では優先順位や目標の自己設定、意思決定の自由、意思決定と問題解決を行うといった場面があり、AIだけでは対応が難しい領域です。

業界で変わるAIの影響

同じ内部監査人でも、働く業界によってAIの影響度は異なります。デジタル化が進んだ業界ほど、AIとの接点が多くなります。

情報通信業
AI化 35% 潜在 +42%
金融・保険業
AI化 35% 潜在 +42%
製造業
AI化 35% 潜在 +31%
建設業
AI化 35% 潜在 +31%
卸売業
AI化 35% 潜在 +31%
小売業
AI化 35% 潜在 +31%
不動産業
AI化 35% 潜在 +31%
サービス業(その他)
AI化 35% 潜在 +31%
運輸・物流業
AI化 35% 潜在 +17%
医療・福祉
AI化 35% 潜在 +17%
宿泊・飲食業
AI化 35% 潜在 +17%
すでにAI化 AI活用で伸びる 組織のAI導入で恩恵 人間のみ
この分析の見方
すでにAI化
AIが直接代行している業務の割合。どの業界でも共通です。
AI活用で伸びる
AIツールを使いこなすことで生産性を上げられる領域。個人のスキルと業界のIT環境に左右されます。
組織のAI導入で恩恵
会社がAIシステムを導入することで、自然と恩恵を受けられる領域。
人間のみ
身体作業・対面・感情など、現在のAI技術では対応できない領域。

この職種の年収

厚生労働省「賃金構造基本統計調査」に基づく内部監査人の給与水準です。

業界で変わる年収

同じ内部監査人でも、働く業界によって年収は大きく異なります。

電気・ガス・熱供給・水道業 695万円
鉱業,採石業,砂利採取業 687万円
金融業,保険業 614万円
情報通信業 556万円
学術研究,専門・技術サービス業 540万円
不動産業,物品賃貸業 536万円
教育,学習支援業 530万円
製造業 524万円

出典: 厚生労働省「賃金構造基本統計調査」(2023年)

この職種に向いている人

ホランドの職業興味理論(RIASEC)に基づく適性タイプです。

E 企業的
3.4
S 社会的
3.3
I 研究的
3.2
C 慣習的
3.2
R 現実的
2.9
A 芸術的
2.2

人を率い、目標を達成する活動が好きなタイプが向いています。

求められるスキルと知識

内部監査人に求められる主要スキルと専門知識です。スコアは5段階評価。

スキル

1
傾聴力 5.5
2
文章力 5.2
3
読解力 5.1
4
説明力 4.9
5
継続的観察と評価 4.9

知識

1
事務処理 2.9
2
ビジネスと経営 2.6
3
人事労務管理 2.5
4
顧客サービス・対人サービス 2.5
5
法律学、政治学 2.3

働く環境と雇用形態

働く環境

空調のきいた屋内作業 ほぼ毎日 80%
座り作業 ほぼ常に 73%
規則的(ルーチンやスケジュールが決まっている) 規則的(ルーチンやスケジュールが決まっている) 71%
電子メール ほぼ毎日 71%
他者とのかかわり ほぼ毎日 52%
競争水準 全く 競争的 ではない 50%
反復作業 就業時間の半分未満 46%
厳密さ、正確さ きわめて重要である 43%

雇用形態

正規の職員、従業員
81.8%
契約社員、期間従業員
9.1%
派遣社員
4.5%
経営層(役員等)
4.5%
その他
4.5%

必要な学歴・資格

AIでは代替できない専門性の証明。資格保持はAI時代の差別化要因になります。

関連資格

  • 内部監査士
  • CIA(公認内部監査人)

内部監査人の将来性とAIの影響

「内部監査人はAIに代替されるのか?」という不安を持つ方に向けて、データに基づく分析をお届けします。

AI代替率: 35%

AI代替率は35%で一部の業務は自動化が進みますが、対面対応・必須資格・免許が求められる領域は引き続き人間が中心です。

AIが変える業務

記録を調査し従業員に聞き取りを行い、取引記録の正確性と法令遵守を確認する、勘定科目表を作成し、仕訳を適切な勘定に割り当てる、コンピュータ技術を活用した記録管理・会計システムを策定・導入・改修・文書化するなどはAIの活用が進んでいます。これらの業務は効率化される一方、新たな役割が生まれます。

AI時代に求められるスキル

傾聴力・文章力・読解力といったスキルの重要性が高まっています。AIを補完する人間の強みを伸ばすことがキャリアの鍵になります。

よくある質問

内部監査人はAIでなくなりますか?

内部監査人がAIで完全になくなる可能性は低いです。AI代替率は35%で、23件の業務は引き続き人間が担います。ただしAI活用スキルが将来性を左右します。

内部監査人はAIに代替される?

会計記録の検査、不正検出、業務重複の特定はAIが得意とする領域ですが、監査範囲の決定、経営層との対話、改善施策の実行支援は監査人の専門知識が必須です。

内部監査人でAIはどう活用される?

業種により異なりますが、AI総合活用度は77%です。すでにAI化されている部分が35%、AI活用で伸ばせる部分が26%、組織のAI導入で恩恵を受ける部分が16%です。

内部監査人の将来性は?

AI化で定型的な検査が自動化される分、経営層の意思決定を支援するコンサルティング的な監査(戦略リスク・組織課題の掘り起こし)への転換が期待されます。

AI時代に内部監査人に必要なスキルは?

AIツールの操作スキルより、ビジネス全体を理解した上で『何を監査すべきか』を戦略的に判断する力が重要です。経営層とのコミュニケーション能力も必須になります。

内部監査人で生成AIをどう活用できる?

内部監査人では7件の業務でAIが活用されています。主な活用領域は記録を調査し従業員に聞き取りを行い、取引記録の正確性と法令遵守を確認する、勘定科目表を作成し、仕訳を適切な勘定に割り当てる、コンピュータ技術を活用した記録管理・会計システムを策定・導入・改修・文書化するなどです。

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最終更新: 2026/03/24

AI浸透度はAnthropicのAnthropic Economic Index (AEI)の観測値(CC-BY)に基づく。業種別分析は独立行政法人労働政策研究・研修機構(JILPT)作成「職業情報データベース」のデータを加工して算出。JILPTおよびAnthropicの見解ではありません。分析方法の詳細

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