マーケティング・リサーチャーの将来性 — AIに奪われる業務・残る業務
最終更新: 2026/03/24
消費者行動データの自動収集・分類がAIで加速する一方、その背後にある「なぜそうなるのか」という人間心理の読み取りと、そこからのマーケティング施策設計は、リサーチャーの本領発揮の場になります。
マーケティング・リサーチャーとは
消費者の好みや関心、他社や業界全体の動き、広告の効果や販売戦略など、依頼主が必要としている様々な市場(マーケット)のデータや情報を収集、分析し、報告する。
この職種のAI浸透度は45%。 26件の業務のうち11件でAIが活用され、15件は人間が中心です。 対面対応や必須資格・免許などAIには代替できない要素も多く、 AIとの共存が鍵の職種です。
なるには
入職にあたって、特に資格は必要とされないが、最終学歴は大卒以上がほとんどである。特に有利な専攻はないが、統計や社会調査の手法、経済・流通について学んでいると仕事に役立つ。また、英語など語学に優れていたり、理工系出身の場合は、それらを生かすこともできる。 入職後に実務経験を通して仕事を覚えていく場合が多い。 中途採用では、実務経験を生かした転職も見られる。 関連資格として、民間の「社会調査士」などがある。 集計・分析にあたっては、表計算や統計処理のソフトウェアを使いこなせる必要がある。結果をまとめて報告する際には文章能力、プレゼンテーション能力が求められ、依頼主によっては英語力も必要となる。 担当する分野や業種、業界に対する専門的知識に加えて、好奇心や探求心を持って仕事に取り組める人が求められる。ヒアリング調査等を行う場合は、調査協力者から信頼を得られることも重要となる。
AI時代に伸ばすべきポイント
- 顧客満足度と従業員満足度を測定・評価する・業界統計と業界誌の動向を監視・追跡するを極める — AIでは代替できない領域
- 企業の市場ポジション把握に必要な情報を収集・提供するのAIツールを習得 — 効率化の武器に
- 文章力・説明力の重要性が今後さらに高まる
AIはどこまで浸透しているか
マーケティング・リサーチャーの業務全体のうち、実際にAIが使われている割合です。
業務の45%でAIが活用されていますが、残り55%は人間ならではの対応が求められています。
業務ごとのAI浸透度
マーケティング・リサーチャーの業務を、情報処理面でのAI浸透度で分類しました。身体作業や対面業務の実行は含みません。
AIが担う業務
人間が担っている業務
この分析の見方
各業務のAI浸透度はAnthropic Economic Indexの実測データに基づきます。
※ AI浸透度は業務の情報処理・判断面への浸透を測定しています。身体作業や対面対応など物理的な実行はAIでは代替できないため、浸透度が高くても人間の作業が不要になるわけではありません。
- AIが担う業務
- 情報処理面でAIが50%以上浸透している業務。ただし身体作業を伴う場合、実行は引き続き人間が担います。
- 人間が担っている業務
- AI浸透度が50%未満の業務。対面対応・信頼関係・判断力など人間ならではの強みが求められるか、AI技術がまだ追いついていない領域です。
カラーバーは業務ごとの「AIの使われ方」を示します:
- AI直接指示(赤系)
- AIに直接タスクを指示する自動化的な利用。この割合が高いほど、AIが主導的に業務を行っています。
- やり取り改善(青系)
- 人間とAIが対話しながら成果を改善していく協働型の利用。
- フィードバック(紫系)
- AIの出力に対して人間がフィードバックを返す利用パターン。
- 学習(緑系)
- AIを通じて知識やスキルを習得する目的の利用。
- 検証(黄系)
- AIの出力を人間が確認・検証する利用。
なぜAIが入り込めないのか
AIの浸透を阻む「人間の強み」
55%の業務がAIに浸透していない理由は、以下の人間ならではの要素です。
高い対面でのやりとりが求められる仕事
この仕事では他者とのかかわり、対面での議論といった場面があり、AIだけでは対応が難しい領域です。
求められる力: 説明力、傾聴力
この仕事の原動力: 周囲や組織の支援
社会調査士など、法令で定められた資格・免許が必要
この仕事では結果・成果への責任といった場面があり、AIだけでは対応が難しい領域です。
高い責任を伴う判断が求められる
この仕事では結果・成果への責任、意思決定の自由、ミスの影響度、意思決定と問題解決を行うといった場面があり、AIだけでは対応が難しい領域です。
求められる力: 合理的な意思決定
具体的な業務: 「特約店の販売や管理を支援する。」
AIが追いつきつつある領域
ただし以下の領域は、今後のAI進化でギャップが縮まる可能性があります。
正解のない状況での判断力が特に求められる
この仕事では意思決定の自由、優先順位や目標の自己設定、意思決定と問題解決を行うといった場面があり、AIだけでは対応が難しい領域です。
具体的な業務: 「経営者に検討事項として調査結果および改善案を提出する。」
業界で変わるAIの影響
同じマーケティング・リサーチャーでも、働く業界によってAIの影響度は異なります。デジタル化が進んだ業界ほど、AIとの接点が多くなります。
この分析の見方
- すでにAI化
- AIが直接代行している業務の割合。どの業界でも共通です。
- AI活用で伸びる
- AIツールを使いこなすことで生産性を上げられる領域。個人のスキルと業界のIT環境に左右されます。
- 組織のAI導入で恩恵
- 会社がAIシステムを導入することで、自然と恩恵を受けられる領域。
- 人間のみ
- 身体作業・対面・感情など、現在のAI技術では対応できない領域。
この職種の年収
厚生労働省「賃金構造基本統計調査」に基づくマーケティング・リサーチャーの給与水準です。
業界で変わる年収
同じマーケティング・リサーチャーでも、働く業界によって年収は大きく異なります。
出典: 厚生労働省「賃金構造基本統計調査」(2023年)
この職種に向いている人
ホランドの職業興味理論(RIASEC)に基づく適性タイプです。
人を率い、目標を達成する活動が好きなタイプが向いています。
求められるスキルと知識
マーケティング・リサーチャーに求められる主要スキルと専門知識です。スコアは5段階評価。
スキル
知識
働く環境と雇用形態
働く環境
雇用形態
必要な学歴・資格
AIでは代替できない専門性の証明。資格保持はAI時代の差別化要因になります。
関連資格
- 社会調査士
近い職種のAI浸透度
マーケティング・リサーチャーとキャリアが近い職種を、AI浸透度の違いで比較できます。
マーケティング・リサーチャーの将来性とAIの影響
「マーケティング・リサーチャーはAIに代替されるのか?」という不安を持つ方に向けて、データに基づく分析をお届けします。
AI代替率: 45%
AI代替率は45%で一部の業務は自動化が進みますが、対面対応・必須資格・免許が求められる領域は引き続き人間が中心です。
AIが変える業務
企業の市場ポジション把握に必要な情報を収集・提供する、マーケティング専門家等と連携し消費者意見やマーケティング戦略の調査を行う、顧客の属性・嗜好・ニーズ・購買行動のデータを収集・分析し、潜在市場や需要要因を特定するなどはAIの活用が進んでいます。これらの業務は効率化される一方、新たな役割が生まれます。
AI時代に求められるスキル
文章力・説明力・傾聴力といったスキルの重要性が高まっています。AIを補完する人間の強みを伸ばすことがキャリアの鍵になります。
よくある質問
マーケティング・リサーチャーはAIでなくなりますか?
マーケティング・リサーチャーがAIで完全になくなる可能性は低いです。AI代替率は45%で、15件の業務は引き続き人間が担います。ただしAI活用スキルが将来性を左右します。
マーケティング・リサーチャーはAIに代替される?
リサーチャーの仕事は「変わる」ものです。定量データの抽出はAIが担い、リサーチャーは「その数字が意味することは何か」を深掘りする役割にシフトします。
マーケティング・リサーチャーでAIはどう活用される?
業種により異なりますが、AI総合活用度は81%です。すでにAI化されている部分が45%、AI活用で伸ばせる部分が23%、組織のAI導入で恩恵を受ける部分が13%です。
マーケティング・リサーチャーの将来性は?
今以上に重要な職種です。AI時代にこそ、消費者の潜在ニーズを掘り出せるリサーチ設計力と、データの限界を見抜く批判的思考が組織の競争力を左右します。
AI時代にマーケティング・リサーチャーに必要なスキルは?
統計的思考とストーリー構築力です。データが示すパターンだけでなく、それがなぜ起きているのかという仮説を立て、それをマーケティング施策に翻訳する能力が必須です。
マーケティング・リサーチャーで生成AIをどう活用できる?
マーケティング・リサーチャーでは11件の業務でAIが活用されています。主な活用領域は企業の市場ポジション把握に必要な情報を収集・提供する、マーケティング専門家等と連携し消費者意見やマーケティング戦略の調査を行う、顧客の属性・嗜好・ニーズ・購買行動のデータを収集・分析し、潜在市場や需要要因を特定するなどです。
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最終更新: 2026/03/24
AI浸透度はAnthropicのAnthropic Economic Index (AEI)の観測値(CC-BY)に基づく。業種別分析は独立行政法人労働政策研究・研修機構(JILPT)作成「職業情報データベース」のデータを加工して算出。JILPTおよびAnthropicの見解ではありません。分析方法の詳細